退職後、すぐに新しい就職先が決まっている場合もあれば、しばらく失業保険を受給しながら転職活動をするケースもあるでしょう。いずれにしても、「退職後の手続き」をスムーズに進めないと、思わぬ不便や金銭的損失が発生する可能性があります。
今回は、退職後にやるべき手続きや書類準備をご紹介します。最後には根拠も記載していますので、安心して活用してくださいね!
1. 退職後にまず確認するべき書類一覧
退職後の手続きには、会社から受け取る書類や、市区町村での手続きに必要な書類が存在します。以下を最初に確認しておきましょう。
- 離職票
- 雇用保険の受給手続きで必要。
- 会社がハローワークに書類を提出後、数週間で退職者に郵送(または手渡し)されます。
- 雇用保険被保険者証
- 退職後に新たな会社へ入社する際、雇用保険加入手続きで必要となる書類。
- 健康保険被保険者証(返却)
- 会社の社会保険に加入していた場合、退職日をもって資格を喪失するため、会社へ返却します。
- 年金手帳(基礎年金番号通知書)
- 基礎年金番号の管理に必要。転職先や国民年金の切り替え時に提出するケースがあります。
- 源泉徴収票
- 年末調整や翌年の確定申告で必要。退職後すぐに手元にない場合もあるので、会社に問い合わせて入手を確認。
離職票や源泉徴収票は後日郵送されることが多いため、退職後1~2週間を目安に会社へ連絡し、送付状況を確認しましょう。
2. 雇用保険(失業保険)の手続き
2-1. ハローワークに行くタイミング
雇用保険(失業手当)を受給したい場合は、退職日の翌日から起算して10日ほど経過後(離職票が届き次第)を目安にハローワークで手続きできます。
- 離職票が手元にあること
- 本人確認書類(運転免許証など)
- 顔写真(3×4cm)2枚
- 印鑑(シャチハタ以外)
- 本人名義の銀行口座 など
ハローワークで「雇用保険受給資格者のしおり」を受け取り、説明会へ参加し、手続きを進めていきます。
2-2. 給付制限と待期期間
- 待期期間(7日間):手続き後、最初の7日間は「待期期間」となり、この間は失業保険が支給されません。
- 給付制限(2〜3か月):自己都合退職の場合、待期期間終了後にさらに2〜3か月程度の給付制限があるため、実際にお金が振り込まれるまで時間がかかります。
3. 健康保険の切り替え
退職後は会社の健康保険資格を失い、新たに下記のいずれかに加入する必要があります。
- 国民健康保険
- 居住地の市区町村役場で手続き。
- 保険料は前年の所得で算定されます。
- 家族の扶養に入る
- 配偶者や親などが加入する健康保険に、扶養家族として加入。
- 収入条件(年収130万円未満など)があるので事前に確認しましょう。
- 任意継続被保険者制度
- 退職前の健康保険を最大2年間継続できる制度。保険料は全額自己負担となるため金額に要注意。
- 退職日の翌日から20日以内が手続き期限。
4. 年金の切り替え・住所変更
4-1. 国民年金への切り替え
会社の厚生年金に加入していた人が退職し、転職先が未定の場合は、国民年金への切り替えを行います。
- 市区町村役場で手続き。
- 「年金手帳(基礎年金番号通知書)」と「本人確認書類」を持参。
4-2. 住所変更
もし退職や転職を機に引越しをする場合は、住民票の異動手続きを行う必要があります。引越し後14日以内に転入届・転居届を出しましょう。
5. 源泉徴収票と確定申告
5-1. 源泉徴収票の受け取り
退職した会社が年末調整をしていない場合や、退職のタイミングによっては、源泉徴収票が手元になかなか届かないケースも。必ず入手し、転職先の年末調整や確定申告時に使用します。
5-2. 確定申告が必要なケース
- 転職先が年内に決まらない場合
- 年末調整がされないまま給与支払いが終了した場合
- 副業収入や株式取引など、他に所得がある場合
確定申告の期間は毎年1月1日~12月31日までの所得に対して、翌年2月16日~3月15日が基本です。
6. 住民税の手続き
6-1. 一括徴収か普通徴収か
住民税は前年の所得に対して課税されるため、退職時点で未払い分をどのように納付するか確認しておきましょう。
- 一括徴収:退職時の給与や退職金から未納分をまとめて天引き
- 普通徴収:退職後、自分で納付書を使用し支払い(年4回分割も可)
6-2. 住民税の納付漏れに注意
会社を通じて天引きがなくなると、自分で納付する必要があるため、納付漏れや遅延に注意が必要です。引越しをしている場合は、転出元・転入先の市区町村でのやり取りも確認しましょう。
7. 知っておきたいポイント
- 退職理由の確認
- 自己都合か会社都合かで失業保険の給付制限や期間が変わります。
- 転職先が決まっているかどうか
- 決まっている場合は次の企業で手続きをしてもらえる部分も多いですが、決まっていない場合は自分でほとんど手続きを進める必要があります。
- 書類の保管・コピー
- 離職票や源泉徴収票など、紛失すると再発行が面倒な書類ばかり。コピーも取っておくとなお安心です。
8. 参考・根拠
- 厚生労働省『雇用保険手続き』
– https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_procedures.html
(ハローワークが提供する雇用保険の手続き情報) - 日本年金機構『年金手続きガイド』
– https://www.nenkin.go.jp/
(厚生年金から国民年金への切り替え方法、年金番号の管理などが掲載) - 国税庁『確定申告書等作成コーナー』
– https://www.keisan.nta.go.jp/
(源泉徴収票や副業収入がある場合の確定申告に役立ちます)
これらの公的機関の情報を元に、退職後の主要な手続きや書類管理をまとめました。
漏れのないようチェックリストを作成して進めるのがコツです。特に失業保険や健康保険、年金の切り替えは、後回しにすると損やトラブルにつながることもあるため、早めに行動しましょう。
まとめ
退職後は気持ちがリセットされる反面、多岐にわたる手続きが待っています。離職票・雇用保険・健康保険・年金・源泉徴収票・住民税など、やるべきことが明確になればスムーズに手続きが進められます。この記事を参考に、余裕をもって進めてくださいね!
POINT
- 退職時に会社へ返却するもの・受け取るものをリスト化する
- ハローワークでの手続きは離職票が必須
- 健康保険・年金の切り替え期限に要注意
これで退職後の準備は万全です。新しい道へ進むためにも、まずはきっちりと手続き&書類整理を済ませておきましょう。
コメント